好奇心を伸ばすには、まず立ち止まる

 なかなか難しいことですが、何事も「だめよだめよ。」と言わずに、子どもの好奇心の赴くままに活動させてあげてほしいと思います。この頃の子どもはいろいろなことに好奇心を示し、触ったり、いきなり走り出したり、じっと止まって動かなかったり、大人の思うようには動いてくれません。そんなときは、まずはお話を聞いてあげてほしいと思います。

草むらのテントウムシ
道ばたに看板

「どうしたの?」

「テントウムシがいる」「お花が咲いてる」「なんて書いてあるの?」

この時に子どものやりたい気持ちに応えてあげることが、こどもの好奇心を伸ばしていきます。そしてそれは、おうちの方に受け入れてもらっているという安心感も同時に育てます。時間の許す限り、こうした子どもの小さな思いに付き合っていただきたいと思います。

「テントウムシがいる」「ほんまやね~テントウムシさん歩いてるね」「黒い点々が七つあるね」などと今見ている状況を言葉で説明して、描写してあげましょう。それで語彙も増えていきます。しばらく眺めていて「テントウムシさんご飯探してるのかな」「〇〇ちゃんもご飯食べにおうちに帰ろうか」とそっと次の行動を促してあげましょう。きっと納得して次の行動に移ってくれると思います。ほんの5分、子どもの思いに立ち止まってあげてください。

 私が見ていた生徒の中で、とても自己肯定感の高い子がいました。その子の小さい頃の様子をお母さまとお話ししていて、そのお母さまは「私はテントウムシがいると言われれば、必ずいっしょに止まって眺めていました。私も見たかったので。」と言われました。こういう小さなことを満たしてもらう満足感が、後に自己肯定感へとつながっていると確信しました。

 「もうおうちに帰る時間だからね」「工事してるのよ~」などととさらっと通り過ぎてしまうと、その時はどうということはありませんが、それがずっと続いてしまうと、いつしか好奇心を持つということが少なくなってきます。せっかくの好奇心を育てる機会を逃してしまっています。

 好奇心をいつまでも持ち続けられると、知りたいと思うことを調べたり、勉強したりする癖がついていきます。知りたいことはどんどんと頭に入っていき、さらには何事も前向きに取り組めるようになります。幼児からの好奇心を小学生へとうまく繋げて育てていければ、それが探求心の種となり、自ら進んで物事を探求する、勉強を好きになり自ら進んで学ぶという方向へつながっていくのです。